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私の本棚 その1(金坂浩史)

投稿日:2010年3月7日(日)

美の呪力

芸術家で誰が一番好きですか?と聞かれたら間違いなく岡本太郎と答える。無意識のうちに岡本太郎と接したのはウィスキーの『芸術は爆発だ!』というCMだっただろうか?松江市の運動公園にある「くにびき国体」のモニュメントも彼の作品だった。また、万博記念公園の『太陽の塔』も親戚が大阪の吹田に居たおかげで目にしていた。

建築を志す中で大阪万博という歴史的な出来事を振り返ったことがある。自分自身のいわゆる万博の体験は小学5年の時のつくば博である。その体験を物差しにして大阪万博を想像するだけでも興奮、楽しさ、エネルギーが伝わってくる。その大阪万博の最大のシンボル『太陽の塔』、その存在感たるや、すさまじささえ感じる。

建築を貪るように見ていた頃、美術館にもよく出かけた。建築も観るのだがアートも観る。ヘトヘトになるまで観るのだ。いつしか赤と青の色をテーマにアートと接するという自分なりの楽しみ方をするようになった。理由は、ピカソに赤の時代、青の時代があるからぐらいのこと。特に赤が好きだ。理由は、「情熱の真っ赤な薔薇を〜♪(情熱の薔薇)」、「それよりももっと赤い血が身体じゅうを流れてるんだぜ〜♪(夕暮れ)」THE BLUE HEARTSが大好きなこと。『美の呪力』の帯に「私は幼い頃から赤が好きだった。血を思わせる激しい赤が」とある。装丁も真っ赤に『美の呪力』と力強い岡本太郎の文字。読むしかなかった。

「生命」「エネルギー」「無限」「宇宙」という言葉を繰り返し投げつけられる。おまえはそれで良いのか!何をしているのだ!しっかり眼を開け!と執拗に迫られてくる。そうかと思うと世界中を旅して過去から現代、未来に飛び、想いを巡らせ思考する。いつのまにか力がみなぎり、元気になり「こうしてはいられない」という気持ちになる。

金坂 浩史 (かなさか こうじ)
建築家
1971年生まれ。福山大学大学院修了。大学院在学中から建築の他アートイベントに関わる。IMU建築設計事務所入所。住宅を中心に設計を行うかたわら、やはりまちづくりやアートイベントに関わる。2009年からスタジオ・カナを夫婦で設立。NPO法人松江まちづくり塾理事、島根県立大学短期大学部非常勤講師